僕が学歴を明かさない理由

 今から読むこの記事が俺の書いたものであることはこの際忘れて聞いて欲しいんだけど,「学歴ってどこまで他人に言えるのだろう?」.
 年度が変わってバイト先の塾に山ほど新しい先生が入ってきて,いよいよ俺も校舎では3番目の古株になったのです.*1 そんで,ついに俺の大学を知らない人が過半数と相成った. 今のところ俺は,向こうから聞かれない限りは自分の学歴は全く口に出さないことにしてるんだけれど,それって何でなのかなあって,自分で自分に疑問を感じてるのです.
 俺がまだ今の校舎に配属される前に,前の塾長が俺の学歴を言いふらして困ったっていう話は前に少し書いたと思う. でもそれでどう困ったかは具体的には書いてないかな. 将来的に人前で発表する機会がたくさんあるだろうと思ったから講師のバイトをすることにしたのは良かった. そんでも講師に限らずバイトってもの自体が初体験だったから,できるだけやり易いとこがいいなと思って今の塾にした. 今の塾っていうのは俺が小4‐高1まで通ってた塾で,懐かしいとか恩返しとかもあったけれど,つまりはそこのヌルさが好きで入ったっていうのが大きいわけさ. んで入ってみたらやっぱり生徒の学力とか雰囲気が前のまんまでさ,すっげえやり易いの. ああこれは自給4000円の家庭教師の職に目もくれずにこっちを選んだ価値は十分にあったと思ったよ. 
 ところがさ,講師間での俺の位置がおかしい. こう見えて社会的な自分の位置はそれなりにわきまえてるつもりだけど,それとは違う. 彼は何故こうも俺を持ち上げる? どうして俺にいきなり受験クラスの仕事が回ってくる? プライドはないのか? 何故あいつは俺の目を見ないんだろう? 急に飲みに誘われたから行ってみれば,話題は案の定学歴の話. ああくそ,やっぱり知ってたのか. ってね.
 一度この冠を見せてしまったら,もうそれで俺の評価は規定されちゃってそれ以上の発展は望めない. どうやら冠の放つ光で俺自身が全く見えなくなるらしい. 冠の色が俺の色になっちゃって,俺の色は俺の色ではなくなるらしい. それは困る. 大いに困る. これでも予備校時代は大変だったんだぞ. 周りに自分より格下の学校に通う人間なんかいなかったし,全然結果が出せなくて,講師もほとんど目をかけてくれなかった. 制服で行ったら「芝かよ!」って言われたことだってあるんだから. それがちょっと冠の色が変わったくらいでそんな卑屈な目で傅かれるくらいなら,今から俺のことは親の仇だと思いやがれ.
 日本人なら誰もが学歴は持ってる. 誰もが教育を受けてきて,少なからずそれに感謝してると同時にちょっとした不満も持って生きてきたわけだから,100%それに無関心になるってことは人間には無理だよな. だったらこの冠は,俺の評価をきちんとしてもらって,最後の最後に見せることにしよう. それで「ああ,似合うね」って言ってもらえたらそれが考えうる最高の評価になるんだろう.
 というわけで自分のやってることに頑張って理由をつけてみた. ごめんね急に. 読んでくれてありがとうね.

*1:うちの校舎に配属される前から講師経験がある人は何人かいる